日本マスコミは「二重の危険」に関する議論が広がると困るのか

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 昨日のエントリーで、「二重の危険」について簡単に説明しましたが、カリフォルニア州法における「二重の危険」について説明してくださっている弁護士さんのブログがありますので、紹介しておきます。
http://d.hatena.ne.jp/attorney-at-law/20080226/1203957902
(はじめケータイ向けリンクに貼っていたので、PC向けのものに修正しました。)

『まず、アメリカ合衆国憲法修正5条は、DOUBLE JEOPARDY (二重の危険)の法理を認めています。つまり、一度有罪となる危険に曝されたのであれば、同じ罪で再度危険に曝されることはないという法理です。
 次に、カリフォルニアでは、この原理を海外での判決にも適用します。
〔和訳のみ引用〕「被告人は、もしこの州(カリフォルニア州)における当該罪を構成する全ての行為が前の(別の法域での)起訴における罪を証明するのに必要である場合、別の法域における間の無罪や有罪の判決の後で有罪を宣告されなくてもよい。しかしながら、その罪が同じ行為ではなく、前の起訴において存在していない要素を含む場合、この州における有罪宣告は禁じられない」( People v. Belcher (1974) 11 Cal. 3d 91, 99 [113 Cal. Rptr. 1, 520 P.2d 385].
 つまり、日本で問題になった和美さん殺害の構成要件事実と、カリフォルニアのそれが全く同じ行為であれば、やはり再度起訴されることはないのです』

 その後は法律家としての立場から、『アメリカの裁判で問題となるのは、いったい日本の無罪判決でいかなる「危険」が生じたのか、という点ではないかと思います。起訴状、判決書を分析し、これと今般の起訴とを併せて考えて、Double Jeopardyと言えるかどうか、この点を正しく主張しなければならない』と指摘しておられます。

 二重の危険については、このように大々的に議論すればいいと思いますが、日本のマスコミは、やはりそうした議論を生起させないよう必死の模様です。
 例えば朝日新聞25日付の社説は、「二重の危険」「一事不再理」という言葉は一切出さずに、捜査手続きのみに視野を狭めて一方的に「今回の逮捕は日本と米国の法律に違反するわけではない。日本の法廷で裁いたのは、日本の刑法が海外で殺人を犯した日本人にも適用されるからだ」と述べています。日本の裁判所に配慮しているように見せかけて、実は二重の危険を黙認して「アメリカ様」「警察様」に屈している情けない文章です。
 日本マスコミにとって「二重の危険」に関する議論が広がると困ると信ずる理由は十分あると思います。
 日本では検察が上訴できますが、米国では二重の危険を理由に検察が上訴できません。日本の司法が検察側上訴を認めなくなれば、それだけ日本のマスコミが犯人視・有罪視する機会も、「被害者感情」を利用して被告人に対する憎悪を扇動する機会も減ることになります。逆に、日本の司法が犯罪に時効を設けなくすれば、それらの機会は逆に上昇します。司法の公正とは関係のないことですが、マスコミ企業のビジネスには大いに関係があります。これが、日本のマスコミが二重の危険について議論を提起したがらない理由でしょう。

追記1:朝日社説は『米国の警察は「新しい証拠を入手した」と警察庁に伝えてきた』と書いていますね。聞き捨てならない内容です。その警察庁職員はどういう立場の何という名前ですか? その職員は公務員の守秘義務に反し、米国・カリフォルニア州の司法手続きを妨害しているのではありませんか?

追記2(3/4):上で引用した弁護士さんがブログで続報しているとおり、カリフォルニア州法では、三浦さんが無罪になった03年当時は、二重の危険の禁止を米国以外にも適用していましたが、04年以降は米国内に限るように改定されました。しかし、改定法を適用して有罪にしようとすれば、今度は遡及処罰の問題が出てくるでしょう。
 日本のマスコミも、三浦さんについた現地弁護士が二重の危険の禁止(一事不再理)を指摘してからようやく報道し始めました。
 米国では「共謀罪」が独立した犯罪であるので「二重の危険」にあたらないという論調もあるようですが、東京高裁判決は共謀についてもかなりの議論をした上で、謀議すら否定する判断を下しているわけで、これを覆すような新たな共謀(謀議)の事実を示せなければ「二重の危険」を回避するのは難しいのではないでしょうか。
 ジミー佐古田とかいう人が何か喋っていますが、証人として法廷に呼ばれない限り、完全無視でいいと思います。

追記3(7/11):ロス疑惑問題、とりわけ「二重の危険」に関する論点については、少なくとも、以下のサイトをよく読んでください。また、東京高裁判決文も最高裁のページできちんと読んできてください。

三浦和義氏の逮捕に怒る市民の会

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このページは、Henkyo Newsが2008年2月26日 21:14に書いたブログ記事です。

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